グローバルイニシアチブセンター長から
現代社会は、VUCA(Volatility: 変動性、Uncertainty: 不確実性、Complexity: 複雑性、Ambiguity: 曖昧性)と呼ばれる、予測困難かつ不安定な状況に直面しています。このような環境下において、日本国内における多文化化が進展し、外国にルーツを持つ児童生徒、技術研修生、留学生の数が継続的に増加しています。これに伴い、大学教育は、国内外において活躍できるグローバル・マインドを備えた人材の育成を担う責務を負っています。
群馬大学は、国際社会の急速な変化に対応すべく、教育体制の整備を進めるとともに、グローバル人材育成の強化を図ってきました。まず、留学生受け入れ体制の整備を目的として、1999年に「留学生センター」を設置しました。その後、「国際教育・研究センター」へと改称され、さらに「国際センター」へと再編し、留学生の受け入れのみならず、日本人学生の海外派遣にも注力してきました。さらに、2023年度には外国語教育部及びGFL(Global Frontier Leader)プログラムを包含する「グローバルイニシアチブセンター」として再編成され、海外交流課との連携のもと、群馬大学のグローバル教育及び国際化推進事業に取り組んでいます。
グローバル人材として求められる資質は、英語をはじめとする外国語を用いて論理的に自己の考えを発信する能力に加え、多様な社会・文化的背景を有する人々と協働し、課題の解決に向けて積極的に取り組む能力です。このような資質の涵養においては、OECDをはじめとする国際機関や文部科学省が着目する非認知能力の育成が不可欠となります。具体的には、主体的に学習へ向かう姿勢、他者への共感と寄り添う姿勢、協調性をもってチームで物事を推進する能力、変化に対応する柔軟性、困難に耐え抜く忍耐力などが挙げられます。これらの能力はいずれも定量的な測定が困難であり、従来の学術的評価指標では十分に捉えることができません。しかしながら、グローバル社会において求められる資質として極めて重要であり、その涵養のため、群馬大学ではPBLに基づく教養英語を通した教育が提供されています。
また、群馬大学のさらなる発展に向けて、留学生の受け入れ促進はグローバルイニシアチブセンターにとって極めて重要なミッションの一つです。留学生が安心・安全に日本社会へ適応し.自己のアイデンティティを尊重しながら日本語及び日本文化を学習できる環境の整備を進めていくために努めていきたいと思います。
加えて、日本人学生と留学生が相互に学び合う機会の創出にも注力しています。具体的には、英語を媒介語とした授業の提供を拡充するとともに、海外の協定校とのオンライン連携による学習機会の創出に取り組んでいます。これにより、国際的な学術交流の促進と、多様な文化的背景を持つ学生間の協働を強化し、グローバルな視野を持つ人材の育成を目指しています。
グローバルイニシアチブセンターは、各学部等との緊密な連携のもと、教職員が一丸となって、時代が要請するグローバル人材育成及び大学のグローバル化の推進に尽力いたします。